12月にとったもう一つのBlock weekのレポートです。
OBの中でも特に私が興味のある分野で、入学前から楽しみにしていた授業でしたので、いつもより紹介したいことがいっぱいあり、レポート長めです…;

授業内容

Positive Psychologyとは、問題点や精神疾患等に着目しがちだった従来の心理学から脱却し、強みや好きなこと等ポジティブな面に着目しようという新しい心理学の分野です。
この授業は、Positive Psychologyを元にいかに社員のエンゲージメントを高めるかというのが趣旨ですが、個人として自分自身のキャリアへの満足度をいかに高めるかという話も多く、良くも悪くも両方の話を行ったり来たりします。

主な内容:
  • 好奇心や情熱がドライブとなるSeeking System、心配や恐れによるFear System
  • 自分の特別な強み(Best self)を活かす
  • Job crafting:仕事の内容や受け止め方を戦略的にcraftしエンゲージメントを高める
  • チェンジ・マネジメント
  • 謙虚なリーダーシップ(Humble Leadership)
  • Purposeによるリーダーシップ・Purpose Laddering(自分の人生の目的を考える)
またZoomでなければ、Lego Serious Playというレゴを使って創造性を高めるワークショップをやるらしいですが、今回はReadingを読むだけでした。私も受けたかった…

ゲストスピーカー:
Customer Experienceを高めるという観点からEngagementの向上に取り込んでいる人と、近々出版される本(下記)の共著者であり組織文化改革等に取り組んできた人の2名でした。
どちらの話もとても興味深かったです。

教科書:
この授業は教授(Dan Cable)が書いた下記の2つの著書を中心に進んでいきます。
Alive at Workは組織経営視点、Exeptionalは自分のキャリア視点の本です。どちらもいい本なので授業取らない方にもおすすめです。

脳科学に基づく働き方革命 Alive at Work
ダニエル M.ケイブル
日経BP
2019-11-23




今年(2021年)の7月には更に新しい本が出版されるので、来年にはもう一つ教科書が増えているかも知れません…
新しい本は、大きな組織でいかに授業で習ったようなことを当てはめるかという本のようです。私の受けた授業ではこの本のうちPerformance Managementに関する章のドラフトがリーディング課題になっていましたが、とても興味深かったので私も出版を楽しみにしています。

Totally Alive: The Science of Vibrant Organizations (English Edition)
Cable, Dan
Harvard Business Review Press
2021-07-13


感想など:
この授業は、一言で言うと私が今までとった中で一番「攻めてる」授業だと思いました。
「攻めてる」の意味としては、学術的なエビデンスや企業の実例がまだそこまで上がってきていない最新の領域を取り上げており、ゆえに最終的に「信じるか信じないか」に近い状態になっているということです。

一番驚いたのは、Job DescriptionやPerformance Managementなど、今の人事界隈で定説となっているツールに疑問を投げかけていたことです。投げかけること自体はいいのですが、では他にどんな方法があるか?については、教授も答えを持ち合わせていないんです。
私の知っている限り、いくつか先進的な取り組みをしている企業があるものの、まだまとまった答えが出ている段階ではないので、教授が答えを持っていないのは当然だと思います。

私は個人的に彼の言ってることを信じたい側の人間なので良かったですが、もともと教授と考えが逆の人にとっては考えを変えるだけの満足なエビデンスを提供できていない可能性がありますし、授業に明確な「答え」を求めている人にも、この授業は合わないだろうと思いました。

個人的なTake away:
一番期待していた組織経営視点での学びは、もともと教科書を個人的に読んでいたこと、その他も興味のある分野過ぎてもともと知っていることが多かったことから、実はあまり多くありませんでした。

しかし期待していなかった私自身のキャリアという点で、新しい視点を得ることができました。
LBSはOBの授業やCareer centreのイベントなど、自分の強み弱み、目標などについて考える機会を多く提供していますが、この授業ではSignature strengthという新しい視点で、とても有益な気づきを得られました。
Signature strengthは単なる強みではなく「To doリストに載せなくても自分からやる意欲が湧いてくる」「取り組んでいると時間を忘れてしまう」などを特徴とするのですが、人より上手くできるかではなく、自分がやっていて楽しいかどうかにフォーカスが当たっている点が新鮮でした。
またStrengthは「コミュニケーション能力」などのざっくりしたものではなく、「XXな状況でXXについてXXな人と話す」などかなりSpecificな状況まで掘り下げていきます。

そして後述のJob craftingの課題を通して、仕事やプライベートでSignature strengthを活かせる時間をいかに増やすかを考えていきます。(詳細知りたい方はExceptionalをぜひ読んで下さい!)
私はこの授業がきっかけで、卒業後の仕事やプライベートの時間の過ごし方を改めて考えるようになり、早速ボランティアに登録したりしました。

教授: Dan Cable

Positive Psychologyの研究を主とするアメリカ人教授。

初めて彼の話を聞く人の多くが驚くのは、とにかく彼のエネルギー値が高いということ。もともともの凄くExtravertらしいのだが、以前癌にかかって余命を宣告されたがあるらしく、それから授業など人生の一つ一つに全力で取り組もうと思ったらしいです。
まさにPositive Psychologyを体現しているのが素敵なところです。

ただ本当にずっとハイテンションだし、一つ質問すると10くらい返ってくるし、苦手な人は苦手だと思います。
Zoomでない時にそうなのか分かりませんが、今回はCold Callをして発言していない人全員を順番に当てていたので、それも嫌な人は嫌ですよね。。

印象的だったのは、授業の最後に、「ここに居る人はみんなある程度恵まれている人。だから社会にGive backすることを考えるべき」というようなことを言っていたことです。
私自身が普段感じている問題意識そのものだったので、教授がいきなりその話をしだしたことにびっくりしたと同時に、授業に全く関係ない訳ではないけれども直接関係あるとも言えない領域で、ロジックやエビデンスを通り越して教授の個人的なメッセージを話してくれたという点にも驚きました。
これもこのメッセージが刺さる人にはいいですが、刺さらない人には「よく分からない教授だったな」という感想になるでしょうね。。

どこまでも合う合わないがありそうな教授でした。(私は好き)

教授のプロフィールはこちら

課題

評価に含まれる課題は、授業後のTake home examと、Job craftingのエッセイのみ。

Take home examは選択問題で、問題を開いてから提出までの時間制限が課せられているので、キャンパスで受ける試験に近い設定になっているのですが、私の感覚では「いやそんな細かいとこまで覚えてないよ」という問題が多かったです。
Closed examと言って資料などは見てはいけないことになっていますが、Take homeという性質上見ようと思えばいくらでも見られるので、きっと見た人は多いでしょう…
コロナ禍でなければ違う形式の試験になっている可能性もある点はご了承下さい。

Job craftingは、上述のBest selfの視点などを生かして、自分の直近の仕事をもっと満足度の高いものにするにはどうすれば良いかを考える課題です。
この授業以外でもOBの授業は自分自身について省みる授業が多く、どうやったら高評価や低評価になるのか良くわからないのが難点ですが、授業で学んだことを自分の今後のCareerや人生にどう活かすかよく考える機会になって、私のように成績気にしてない人には良いと思っています。笑

またこの授業のユニークなところは、評価には関係ない課題が複数あること。
具体的には、Best selfを探す、周りの人に感謝のメッセージを伝える、Purpose Ladderingの3つの課題が出されました。
上述の通りこの授業は自分のキャリアへの満足をいかに高めるか、という自己啓発的なテーマもあるので、「課題というよりは自分のためにぜひ取り組んでほしい」というのが教授のメッセージでした。
ぜっかくだからやった方が授業の学びは深まるし、最後のJob craftingの課題にもつながってくるので、個人的には取り組むことを勧めたいですが、やってない人もいたと思います。

リーディングは、上記の教科書2冊に加えて関連する記事なども幾つかあり、分量としては多い方のように感じました。
教授はリーディング課題は読んであることを前提に授業を進めていくので、読まないと全くついていけないということはないですが、授業から得られることが半減してしまうと思うので、できるだけ読むことをおすすめしたいです。


以上、長くなってしまいましたが参考になれば嬉しいです!